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2006年11月14日

今の教育議論に物申す

今いじめ問題や校長の自殺など、教育・学校関係の報道を見ない日はありません。完全にマスコミは教育フィーバー状態です。
私も有権者の方とお会いしてもかなりの確率で教育の話になります。私はもともと教育に関して力を入れたいと思ってきた人間ですが、ここまで教育が政治関連のネタとして関心を持たれたことは無かったのでビックリしています。


●マスコミのキャンペーンには冷静に

大抵は「今学校がおかしい」という話になりますが、マスコミというのは「ネタになる!」と思った瞬間キャンペーンのように取り上げますから、今この瞬間いじめや子どもの問題が劇的に悪化しているわけではなく「マスコミが取り上げることが増えた」ということです。


●本当に学校は隠蔽体質なのか

とはいえ昔と比べ教育がうまくいっていない、いじめの問題が悪化しているのは事実です。
ただし、テレビなどで議論されているような「学校が隠蔽体質である」という論調は学校・教員に酷ではないかと思います。

まず「何故担任が表に出ないのか」「説明が二転三転する」という部分ですが、民間企業で危機管理対応の業務に携わっていました私からすると、そもそもこのような重大な問題について現場の人間である担任や中間管理職に過ぎない校長がマスコミ対応をする時点でおかしいのです。


●民間企業では不祥事対応は当事者ではなく責任者が行う

民間企業で不祥事が起きた場合、不祥事を起こした張本人が表に出たことがあるでしょうか?絶対にありえません。またその張本人の直属上長である課長や部長が表に出るでしょうか? 脇に居たとしても責任者として説明することは普通ありえません。

それは企業の信頼に関わる問題はその場で責任をもって一元的に回答できる人間(普通は取締役以上)がすること、当事者は表に出さず代わりに全ての事実を明らかにすることが信頼回復には一番大事だからです。

誰だって(間接的か直接的かはともかく)自分が起こした問題についてマスコミや社会を前に正直に全てを話すことはなかなかできません。
個人情報が入ったパソコンを紛失した社員が記者会見に出て

「なんで無くしたんですか?」
「いや、酔っ払って電車に置き忘れたんです…」
「なんでそんな大事なものがあるのに酒なんて飲むんですか!?」
「いや、その…」
「はっきり答えて下さいよ!」

なんてされたら本当の事情はなかなか言えません。
だから責任者が代わりに本人から事情を全て聞いて代わりにマスコミに叩かれるわけです。それが責任者の務めですし、自分が前面に出ないから当事者も全てを話せるわけです。

危機管理に慣れていない人間は対応方針が定まっていないので、その時その時で発言がぶれたりして、それが結果不信感を招くことになります。


●教育行政の責任者である教育委員会に危機管理対応チームを作る

要は何を言いたいかというと、いじめを始めた教育現場の危機対応は校長ではなく教育行政の責任者である教育委員会が一元的に対応するべきであり、また教育委員会の下に危機管理対応のチームを作り、問題が発生した場合は速やかに関係者の事情聴取、事後策検討、マスコミ対応方針などをきっちり行うべきだと思います。
それによってノウハウも貯まり、迅速かつ統一的に対応することができるはずです。


●そもそも学校に期待しすぎでは

また、もう一つ思うことは「学校に期待し過ぎてはいないか?」ということです。

「何故教師はいじめに気付けなかったのか?」と言われます。確かに教師がいじめに気付いて適切な処置をしていれば問題は起きなかったでしょう。
しかし、教師も神様ではありません。気付かない時もあれば、深刻なレベルだと感じないことだって無いとは言い切れません。

特に心の教育に関しては学校というよりも家庭の問題です。
家庭でしつけが為されておらず、人の心を考えられない子どもが学校に来て突然良い子に変わることを期待する方が間違っていると思います。


●いつから学校は「勉強する場」から「しつけをする場」に?

これは学校側の自業自得でもあるのですが、塾が台頭し「学校の授業は意味がない」と散々学校が叩かれた時、学校側は「学校は勉強だけをする場ではない。心も学ぶ場なんだ」とか言って、授業内容が塾に劣っていることを誤魔化したことが今になって響いている気がします。

即ち、本来は昔は

・子どものしつけ⇒家庭
・子どもの勉強⇒学校

だったはずです。

それが何時の間にか学校側の言い訳が世間に浸透し

・子どものしつけ⇒学校
・子どもの勉強⇒塾

という構図になってしまった気がします。
本来、学校は勉強を教える場であることが第一義の存在理由だったにも関わらず上記構図が成立してしまったために、親も学校がしつけもしてくれるものだと過剰に期待しているのではないでしょうか。

「好き嫌いをしない」「挨拶をする」「人の話を聞く」「自分がされて嫌なことは人にしない」などの当たり前の道徳を家庭で叩き込まれていない子どもに道徳の授業をしたところで変わるわけはないのです。


なんだか学校側の肩を持ちすぎな気がしますが、最近のマスコミの無責任な学校批判に対して思う所があったので言わせて頂きました。


●主観的な議論ではなく建設的な議論を

いじめ問題を受けて各界の人がコメントしていますが、結局は「今の子どもはおかしい」「今の教育はおかしい」と言っているだけで「昔の時代、即ち俺は良かった」と言っているだけで、個人の主観を押し付けあっているだけです。
そんな不毛な議論よりも具体的に、そして主観ではなく確実に教育現場が良くなる方策を議論して欲しいと思います。

例えば少人数クラスに代表されるような、今の教育現場を踏まえた上での当たり前の解決策がもっと議論されてもいいのではないでしょうか。

昔と比べ躾が行き届いていない子どもが多数いて、しかも体罰という問題から子どもに一切手があげられない状況で、昔と同じように40人近い子どもを一人の教員が面倒を見ること自体がそもそも時代錯誤なのです。
教員の数を増やし、30人程度のクラス単位にして教員が一人一人の子どもにかけられる時間を増やすべきです。


●教育現場に責任を押し付けるのではなくサポートすることを

「今の教師はダメだ」「教員免許を更新制にすべきだ」などと教員に責任を押し付けるのではなく、圧倒的にマンパワーが足りていない教育現場の負担をいかに軽減し、子どもに全力を注げる体制をどう築くかという建設的な議論がもっと進むと良いなと思います。


●子どもを本当に理解することから問題解決は始まる

また、こと家庭において言うと、今の日本は子どもを本当の意味で理解していないと思います。
何か問題が起きればすぐに「マンガのせいだ」「ゲームのせいで人の命が蘇ると思っている」というような短絡的な批判が出ますが、じゃあ貴方達は子どもと同じ目線でものを考えたことがあるのか、と私は問いたくなります。

「今の子どもはおかしい」という人の一体何割が子どもが今夢中になっている遊びを理解しているでしょうか?
ポケモン、ニンテンドーDS、ムシキングなどを知っているのでしょうか?


●マンガやゲームがダメなのではない

マンガがダメなわけでもゲームがダメなわけでもありません。「ダメなマンガがダメ」「ダメなゲームがダメ」なんです。
テレビと同じ議論で、テレビが発明されたおかげで人は今までとは比べ物にならない情報量を手に入れ確実に世の中は進歩したはずです。当然光あれば陰があるわけですが、それは「悪い番組は見せない」という選択肢を取ってきたわけで「テレビそのものを見せない」ということにはならなかったわけです。

それと同様にマンガやゲームという活字よりも表現が豊富な分、優れた教育内容をもつものもたくさんあります。
私は歴史や文化芸術が大好きですが、マンガやゲームからも多くのきっかけを得ました。ゲームだからマンガだから全部娯楽というわけではないのです。


●昔の遊び=良い、今の遊び=良くない、という固定概念は捨てよう

大事なことは子どもの楽しみを理解し、良いものは一緒に遊び、悪いものは極力排除する、そういう時代に合わせた対応です。
昔は良かった、やっぱりメンコやベーゴマで遊んでいればいいんだよ、なんて懐古趣味的なことを言っていても、時代はもう21世紀なのです。それより面白い遊びがある以上、もう昔には戻れないのです。

私はこの世代では珍しくメンコもコマも竹とんぼ作りもやっていた人間ですが、それらを今の子どもに教えても続かないことは理解しています。
確かに今のカードゲームの方がよっぽど複雑で脳味噌も使うし面白いです。


子どもに昔の遊びを伝えることも大事です。
しかし、それ以上に大事なことは大人達が今の子どもから今の遊びを教えてもらい、今の子どもの考えを理解することが一番大事なのではないでしょうか。


長い…
すみません。
posted by 熊谷としひと at 22:37| 東京 ????| Comment(8) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私も全くその通りだと思います。

私はいじめられている子を守るべきなのは、親を始めとする家庭であると思います。
勿論、年配の方が言われるように昔には昔なりの良いところがあったと思いますが、それはその当時の状況(核家族がほとんど存在しない、濃厚な近所付き合い、それを支える生活、経済、物状況など)が可能にしていたのだと思います。現在は、状況が違いますから、新しくそれに合う制度や考え方に変えていく必要があるのではないでしょうか?
教師はもう既に聖職では無いし昔も今も普通の一個人なのだから完璧を求めることはできない。
極論ですが、もし教師が最低の人間であっても、いじめが起きてしまう全ての条件が揃っていても、子ども達を守ることのできる制度と社会ができると良いですね。難しいですが…。
Posted by いぬのえさ at 2006年11月14日 23:11
コメントありがとうございます!
そうですね、今とは状況が違い、そして昔には戻れない以上、それに合う制度と考え方をみんなで議論するしかないですよね。
私もその極論には賛成です。個人の力量ではなく組織として対応できる方向が一番大事なのだと思います。
Posted by 熊谷としひと at 2006年11月15日 07:04
学校の組織管理に関しては、会社づとめの経験が生きそうですね。^^

さて「いわゆる今時の子供の遊び」についてですが、テレビも漫画もゲームも大人たちが作って売っているモノですよね。なんと言うか、遊び方の問題は子供のせいではなくて大人社会の問題であるような気もします。

いずれ、酒でも提げて有権者の方々とお話をお伺いしたいところです。。

話少々脱線しますが、看板、黒文字もいいですね。街を歩いてみたら今の時期はポスターしかなく、それも青か赤の文字で黒は見かけなかったような気がしますけれど、サンプルは黒が目立つような感じが致しました。はい。
Posted by まるす。 at 2006年11月16日 00:16
むむ。なるほど。普段からトシの教育のお話は聞いていたが、文章でまとめてもらうとスジが良く通って見える。
自分も将来子供を持ったときにまた真剣に考えるんだろうけど、今から考えておこっと。
Posted by ヤッシー at 2006年11月16日 00:56
>まるす。さん
いつもコメントありがとうございます!
確かに作り手は大人ですよね。そこから議論を始めないといけないかもしれません。12月・1月あたりには会合を開く予定なので、その際は是非お越しください(^^)
看板は黒文字が最近人気出てきて悩んでいます。。。

>ヤッシー
お、未来の教育パパ誕生?今度またゆっくり話をしよう。
Posted by 熊谷としひと at 2006年11月16日 10:40
批判的なことを書くと叩かれそうですが、あえて。

ブログを拝見して、メールに興味を持っていただけなっかた理由がわかったような気がしました。

私は自力解決に向け、緊急懇談会を行い教頭は非を認めました。今も担任は休んでいます。

マスコミが騒ぐから、有効なこともあるという事をご理解下さい。力のない個人だからこそ、逆に利用させていただきます。きれい事だけでは動かない事も存在するのです。

機会があれば、一度直接お話がしたいところです。
Posted by いよかん at 2006年11月19日 00:29
会合、いいですね。ボジョレ祭りも今年はどこへやら。。二足のわらじが落ち着いたころに是非。

焦点を絞ってゲームについてですが、ゲーム仲間に入ってみると、「ゲームをいっしょにやっている相手への気配りや思いやり」「最後まであきらめない」「ゲームがない人が入るときは教えてあげたり別の遊びを選ぶ」等、いわば普通の人間関係が出来ていまして、参加者が節度を持って普通に遊んでいる分には問題ないんですよね。

ただ、世の中には「ゲームばかりで勉強しない」「内職で家計を支えており、高価なゲームは購入できない」という見方もあり(このあたりは有権者の方から指摘されそう)、「だからゲームはダメ」という短絡的な意見につながっているような気もします。

結局は、ゲームがなくても将来への希望が描けない子は継続的な努力が出来ないし、ゲームがないから友達の中に入れないなんてことはないんです。ゲームがあってもなくても、大人がきちんとした将来図を描いて上げられないところが問題じゃないかなという印象ももっています。

長文いつも失礼しました!
Posted by まるす。 at 2006年11月19日 22:13
>いよかんさん
ご批判ありがとうございます!またメールに満足な回答を返せず申し訳ありませんでした。
教育問題については文章にするとどうしても真意を全て伝えることができないかもしれません。一度お会いしてお話を伺えればと思っています。

>まるす。さん
おっしゃるとおりですね。ゲームはあくまで子どものコミュニケーションの一つのツールに過ぎない、目的を議論すべきだと思います。
Posted by 熊谷としひと at 2006年11月20日 09:37
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